「愚者」(道化)は、民話や伝説にしばしば登場する人物像。かつての宮廷道化とかかわりが深い。王侯の宮廷に仕えていた彼らには、冗談や諷刺や悪ふざけの仮面をまとって述べれば、真実をしゃべっても罰せられないという「愚者の自由」が与えられていた。宮廷道化は、(ワーグナーの楽劇に「きよき愚か者」として登場する)若きパルジファルのいでたちのように、グロテスクなまだらの服を着て、道化の笏杖を持ち、鈴のついた道化帽をかぶっていた。近代のカーニバルの衣装はこれを模倣したものである。

民衆本に登場する道化、すなわち、いたずら者オイレンシュピーゲルは、16世紀以降ポピュラーになり、ドイツ語では Eulenspiegeleien (=いたずら)などの、(彼の名をもじった)慣用表現が用いられるようにもなった。

タロットの大アルカナの0番は「愚者」とも呼ばれ、ボロをまとった放浪者が子犬に跳びつかれているさまが描かれている。このカードはシンボルとして、世間知らず、叡智を得る放浪の途上にある「きよき愚か者」、無邪気、自然なふるまいをあらわす。(ハンス・ビーダーマン著「図説・世界シンボル事典」p.284より)

愚者
















図説 世界シンボル事典
ハンス ビーダーマン
八坂書房
2000-11