人間の骸骨あるいは骨格が浮き出た人間の姿は、シャーマニズム的な文化では、イニシエーションの儀礼でトランス状態に入ってゆこうとする者が体験する心理的な崩壊状態をあらわしている。同様の図像は禁欲的な苦行の象徴でもある。

しかし骸骨は、一般的には「死のシンボル」として考えられている。肉体が滅びても、骨は残り、条件がよければ何千年もの間、形をとどめるからである。最後の審判の場面では、死者たちの蘇生の表現として、墓の中から立ち上がる骸骨が描かれることが多い。

錬金術のシンボル表現でも、墓から立ち上がる骸骨は、変成するプリマ・マテリア(Prima materia=第一質料)がニグレド(Niggredo=黒化)とプトレファクティオ(Putrefactio=腐敗)を経て復活・再生することを約束している。

また骸骨は普通、目に見える死のメタファーとして擬人化され、砂時計や大きな鎌とともに、たとえば media vita in morte sumus 「われら生のさなかにありて死に囲まれたり」という言葉を喚起するものとして死の舞踏の場面に描かれた。この主題は特に疫病(ペスト)が蔓延した中世末期によく見られた。(ハンス・ビーダーマン著「図説・世界シンボル事典」p.92より)

13
















図説 世界シンボル事典
ハンス ビーダーマン
八坂書房
2000-11